RECOMMEND
RECOMMEND
SELECTED ENTRIES
CATEGORIES
ARCHIVES
MOBILE
qrcode
LINKS
PROFILE
OTHERS

04
--
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
--
>>
<<
--

青葉心理クリニック

Improvisationとしてのカウンセリング
0

    Improvisationとしてのカウンセリング

     

    Improvisation は「即興」であり、ほぼ アドリブ(ラテン語 ad lib)と同じ意味である。定禅寺ストリートジャズフェスティバルという催しが例年9月に仙台で開かれているが、実際の演奏はJazzには普通分類されないものの方が多い。高校の時に不登校で相談に来られた方で、音楽的な才能の豊かな方がおられ、その方にそのジャズフェスのことを話題にして、Jazzの定義ってなんなんだろうと聞いたら、「掛け合いのあること」と答えられた。例えば、ピアノとサックスの奏者がいたとして、個人としては別々の存在であり、それぞれの演奏をしながら、譜面という形式よりも演奏時の知覚を優先して、お互いの演奏が別の何かをつくりだし、かつそれが「音楽」という枠をはみ出さない、そういうものをImprovisation というのであろう。彼はそれを「掛け合い」と表現したのであろう。個々の存在である二者が、音楽なら演奏という場、カウンセリングなら人工的に造られたコミニュケーションという場で、現実には別々の存在でありながら共通の場を作り上げる、ある意味それは幻想の場なのかも知れないが、一人、一人でいたときには無かった何かが、ある条件、例えば共に演奏すると、そういう何かが立ち上がる、カウンセリングの場ではそれが共感なのだと思う。どうして他人の心が分かるのかというのは、直感的、経験的にはそう思えるが、厳密に分析していくと、例えば公準のようなものを持ち出さなければならないような難問なのである。デカルトの「我思う、故に我あり」でわかるように哲学者というのは自分を想う、内省することだけでいい、つまり一人関係でいいのであるが、心理、医療、看護、福祉という職業は二人関係が主であるから、そうはいかない。私がこう感じる、こう考えるから、他人もそうだろう、そういういわば思い込みで納得するわけにはいかない。この辺を掘り下げるとパラノイアになりかねないので、先の演奏を例にとると、楽譜という形式に沿ってそれぞれのパートを演奏しながら、演奏時の感覚、知覚を形式に優先させる事により別々の演奏が一つになり、新しい何かを立ち上げる、そういうものが立ち上がった時に、そこにImprovisationという場が立ち上がるのだろう。カウンセリングの場ではそれが共感なのだと思う。そういう場でふたりは一人でありながらも二人ということができる。こういう関係にある時の自分を「自己」といい、あくまで一人だけでいる時の自分を「自我」というのではないか。

    早朝覚醒の朝にこんなことを考えていて、ふと思ったのが、「何かが立ち上がる」ことと、意識が立ち上がることの同型性である。意識の場での個々の存在は、個々のニューロンの存在である。それが、他のニューロンとシナプスを介して結ばれ、やがて視床ー皮質間のような極めて複雑な回路を形成するようになる事で、個々のニューロンの働きの総和を超えた全体としての神経回路の働きの総和が生じ、その超えた分が意識の働きとなるというコッホの仮説との同型性があるように思える。

    こういう考え方が許されるならば、カウンセリングの有効性の鍵は、上述した意味での『自己』と言う場が、カウンセラーとクライエントの両者に立ち上がるかどうか、Improvisation ができるかどうかだと思う。

     

    | 2.エッセイ | 05:10 | - | - | - | - |
    認知モード理論 その5
    0

      認知モード理論 その5

       

      Top Brain system 、Bottom Brain system の両者を、それぞれよく使う人、あまり使わない人がいるので、組合せとしては、2X2=4通りとなる。その4つが認知モードの4つとなる。

      Top Brain を T、Bottom Brainを Bと表し、よく使うは(+)、あまり使わないは(−)とすると、

       

      1)T(+)かつ B( +)を主体者モードという。

      このモードで考える時、Tを使って計画して実行すると同時にBを使ってその結果を認識し、その後、フィードバックに基いて計画を調整する。このモードの人は自ら計画し、行動し、自分の行為の結果を目にできる立場にいる時が最も快適である。

       

      2)T(−)かつ B(+)を知覚者モードという。

      自分が知覚しているものを、Bを使って深く理解しようとする。自分が経験していることを解釈し、それをその時の状況に当てはめ、その意味合いをつかもうとする。だが詳細な計画をたてたり、それに着手することは苦手である。余談だが、木村敏先生の記載によると、有名な哲学者であり、精神病理医であったカール・ヤスパースはこのモードであったと思われる。

       

      3)T(+)かつ B(−)を刺激者モードという。

      創造的、独創的になれるが、物事の限度がわからなくなり、他人に迷惑をかけたり、自分の行動を適切に調整できなかったりする。Bによるフィードバックがかからないからである。

       

      4)T(−)かつ B(−)を順応者モードという。

      夢中になって計画の実行に取り掛かる事もなければ、自分の経験するものの分類や解釈に専心する事もない。その代わり、目の前の事象や差し迫った課題に熱中できることが期待される。行動指向性があり、進行中の状況への反応性が高い。

       

       

      実際にカウンセリングをなさっている方は、現在うまくカウンセリングが進行していない方の顔と上記の認知モードの一つが頭をかすめたのではないだろうか? その瞬間にこの認知モード理論はあなたの自家籠中のものとなるのである。現場を持っていれば、コスリンの本に限らず、ダマシオであろうが、コッホであろうが、脳科学のきちんとした本は難解ということはない。マルクスが資本論を書いた時は、当時一番資本主義が発達していたロンドンで、毎日労働者を見ていたというが、複雑極まる脳を取り扱う時には、書斎にこもって自分の脳だけを相手にしてもろくなことにはならない。診察室で、いろんな脳を観察することである。

       

       

      人により、どのモードが優位かが違い、それが性格のはっきりした特徴となるので、各自のアイデンティティにとって、認知モードは態度や信念や情動気質と並ぶ特徴であり、重要である。

      このモードを知ることで、脳が思考や感情や行動にどう作用し、ひいては学校、職場やもっと親密な状況での他人との関係にどんな影響を与えているかの理解の手助けになる。

       

      これで、認知モード理論の概説を終える。実際のカウンセリングの現場での使用には、この4つの分類をそのままで用いると、TとBによる二分法になってしまうので、それはコスリンの望むところではないので、実際の利用に際しては、よく考えられた細かいチューニングがなされていて、二分法ではなく、システムとして考えるということが徹底されている。認知モード理論のこういう考え方は、以前に人格障害に対するミロンの考え方を紹介した時にも考察しているが、現場では、なるべく単純なシステムこそが実用的であり、誤りも少ないものである。老婆心ながら、コスリンの作った診断リストは、日本人に使うには文化的背景が違うので、少し文章表現を変えなくてはならないと思う。

       

      こういう単純な考え方を現在私は脳というか、人間の理解に関して5つ持っている。それがコスリンの言い方を借りれば、二分法にならないように、システムとして考えられるように常に気をつけている。それと、考え方の限界、たとえば、コスリンはこの認知モード理論に対して、脳をどのレベルで捉えた理論なのか、情動のシステム(これは皮質下のものが大きい)はこの理論にははいっていないこと、つまり、あくまで大脳皮質の理論なのだということ、そして選択の余地がある時に働くモードなのだということをきちんと述べているのだが、それが理論を用いる場合に忘れてはならないことである。

      この認知モード理論による4つの方の分類に関して、本の中でコスリンが触れながら、実際に診断テストには採用されていない「心的イメージ」を用いることで、もっと簡易に直感的にできる方法があると思うが、心的イメージに関して誤解がないように述べるのは大変なので、次の機会にしたいと思う。

      | 1.サイコセラピー | 11:29 | - | - | - | - |
      認知モード理論 その4
      0

        認知モード理論 その4

         

         

        Top Brain に属する、視覚野から頭頂葉に向かう回路が空間関係の認識(あるものが、もうひとつのものの左側にあるなど)に、そしてBottom Brain に属する視覚野から側頭葉にむかう回路が視覚認識(顔を見てそれが誰かを認識するとか、あのネコは前に見た猫だとかを認識する)ということは言葉はともかく内容は既に神経内科の教科書にも記載がある、目新しいことではない。

         

        ここをもう少し詳しく説明する。

        1. Bottom Brainに属する側頭葉は、目からだけではなく、(聴覚中枢は側頭葉にあるので)耳からの入力信号もまとめて、ノイズを取り除き、脳の別の部位に送る。さらに他の側頭葉の部分には形状の(視覚的)記憶、音声の記憶が蓄えられているのでその情報も同じように送られる。
        2. この情報は Top Brainに属する前頭葉の上部に送られ、そのおかげで現在知覚している物体の性質についての情報が利用できる。そこで処理された情報が、今度はBottom Brain に送られる。
        3. 同じ側頭葉からの情報は、同じBottom Brainに属する前頭葉下部にも送られ、当該の物体や事象について適切な記憶を活性化させ、関連のある情動的な記憶の処理に重要な役目を果たす。(ここで辛うじて認知モード理論で情動が関連している)そしてそれがまた、Top Brainに送られる。

         

        この辺の事は、論文や本によって表現はさまざまであり、コスリンはそれらを以下のようにまとめている。

         

        1)Bottom Brain system は、感覚器からの情報をまとめるとともに、知覚されているものを、それまで記憶に保存されていた全情報と比較し、それからその比較の結果を使って、入力信号を生み出した物体や事象を分類し、解釈する。

         

        2)Top Brain system は、身の回りについての情報を(情動的な反応や生理的要求のような他の種類の情報と組み合わせて)用いて、どの目標を目指すか決める。自ら計画をたて、その計画がどうなるかを見込み、それから、計画が実行されるなかで、起こっていることを予期していたことと比べ、その結果に従って計画を調整する。

         

        3)Top Brain と Bottom Brain の二つのシステムは、常に協同する。

         

        4)我々は、常にこの二つのシステムを使う。だが使い方に2種類があり、ひとつはたとえば歩くときの脳の使い方、つまり選択の余地の無い、状況に強要されている時の使い方で、これは誰もが同じ様にTop Brain と Bottom Brainを使う。しかしもうひとつは選択の余地のある、コスリンが言うには踊る時の様な脳の使い方で、このときにTop Brain と Bottom Brain をそれぞれ、どれぐらいの割合でつかうかが、この認知モード理論の基本になるのである。ここをきちんと押さえておく事が極めて、極めて大事なのである。

         

        さあ、これでやっと実用的な4つの認知モードの話に入る。

         

        | 1.サイコセラピー | 02:02 | - | - | - | - |
        認知モード理論 その3
        0

          認知モード理論  その3

           

           

          繰り返しになるが、この理論の優れている点は、右脳ー左脳の二分法という古いパラダイムから、Top Brain , Bottom Brain という二分法ではないパラダイムを提供し、かつそれが前回ブログで述べたように脳科学の発達によって明らかにされた知見にきちんと裏づけられている事である。コスリンは、脳を大きく捉えるという手法を使っている。大きくというのは、例えていうと、脳を家とすると、その材料のレベルはニューロンのレベル、もっと細かい材料の分子構造のレベルはニューロンのたとえば、カルシュウムチャンネルのレベルになるが、それよりマクロな、家のそれぞれの部屋のレベルで脳の機能を考えているのだ。だからレベルでいうと右脳ー左脳の二分法に近いレベルで考えるのであるが、二分法では脳のマクロな部分がどう相互に関連しあって働くのかを捉えることができない。右脳ー左脳の二分法は極論すると「分離脳」になってしまい、相互作用の説明ができないということなのだ。二分法に代わって「システム」でかんがえる手法を使っている。システムであるから、「出力」、「構成要素」、「入力」があり、構成要素がシステム全体のために連合し、それぞれの入力に対して適切な出力を生み出す。認知モード理論は脳を上部と下部という大きな部分に分けて、その両方を情報を特定の方法で処理する「大きな」システムとして考えている。この大きなシステムを上部、下部にわけ、前者を後頭葉、頭頂葉、前頭葉の大半(上部)、後者を後頭葉、側頭葉(下部)という処理システムと考えるのである。そしてここが大事な所なのであるが、右脳ー左脳の二分法と違って、システム間の連合がある。そこが二分法に比べて、臨床的に役立つのである。Top Brain と Bottom Brain はそれぞれ、さまざまな部分が迅速に連絡し合って連合出来るような構成要素をもっているのだ。ただ、この理論は知・情・意の知と意のシステム理論であり、情のシステムはほとんど考えていない。辺縁脳はTop Brain にも、Bottom Brain にも入っていない。そして繰り返すが、脳を「大きな」捉え方しかしていない。このことをはじめから承知の上で、この理論を日常診療に活かしていこうというのが狙いである。脳科学が細かいレベルで発達したために、トランスポートのチャンネルの微細構造や、神経伝達物質の化学的合成、分解過程、それに基づく薬物動態などが脳科学、精神科学の本の多くのページを占めるようになった。その方向は学問としては価値のあることだが、顕微鏡の倍率を上げすぎると全体が見えなくなってしまうような面があり、日常診療には適さなくなるのだ。脳を、大きく捉え、システムとして考えると言うのは優れた着眼点だと思う。

           

          | 1.サイコセラピー | 07:16 | - | - | - | - |
          認知モード理論 その2
          0

            認知モード理論 2

             

             

            「Top brain , Bottom Brain 」の認知モード理論について、内容の説明をする前に、この本では大脳皮質の機能の理論なので、知・情・意のうち情について、つまり辺縁脳については記憶に関して僅かに触れられるが、情動、感情にはあまり触れられていない。また、右脳・左脳という二分法を否定的に捉えていること、さらに二分法自体を否定的に捉えていることを最初に紹介しておきたい。話が脱線するが、三島由紀夫がトーマス・マンの「魔の山」を読んではじめて大陸的二元論というものに得心したと言っているが、右脳・左脳もそういう二元論として捉えれば、コスリンが言うように根も葉も無いこととは思わない。コスリンは二分法ではなく、システムとして考えると言っているのは、Top Brain と Bottom Brain が、右脳・左脳ほど形態学的にはっきり二分されていないことがあるのだと思う。

             

            前回ブログで書いた通り、Top Brain の回路は視覚野(V1)から上向きに視覚連合野の後部頭頂葉(空間的な位置に関する視覚情報)を通り、前頭葉背外側(空間的な記憶を使った決定をする)に至る(superior occipitofrontal fasciculus)で、視空間認知が行われる。空間識別といわれ、ものの空間的関係を認知するのであるが、空間の中で物をどこに動かすか、身体をどう動かすかを決定する事も含まれるので、「計画を立てて実行する」のが Top Brainの作用と言える。

             

            一方、Bottom Brain の回路はV1から向きに下側頭葉(物体に関する視覚)を通り、前頭葉底部(物体に関する記憶をつかった決定)に至る(inferior occipitofrontal fasciclus)で、物体識別が行われる。つまり、それがなんであるかとか、誰であるかとかの認識を行うわけである。周りの世界からの感覚情報を分類して解釈する。

             

            Top brain 使う、使わないで2通りの認知モード、同様に Bottom brain に関しても2つもモーだがあるので、組み合すと、4通りの認知モードを設定できる。これが認知モード理論の大略である。

             

            なお、情について触れないのは、この「認知モード」というものが、「世界へどう向かい合うか、他者とどう接するかの根底にある、人間の思考法」であると述べられているので、知と意でしかないことははじめから知る必要がある。

             

             

            | 1.サイコセラピー | 21:42 | - | - | - | - |